【㈲可児設備 社長の週末日記vol73】ハマス

ハマス

ついにイスラエルとハマスが戦争状態になりました。

今回のハマスのテロ行為は論外ですが、ここまでなるのにはかなり複雑な宗教問題がからんでいます。

イスラエルがあった地はもともとユダヤ人が治めていました。

しかし古代ローマ帝国に滅ぼされ、ユダヤ人は世界中にちりじりになります。

そこにイスラム教徒のアラブ人が、パレスチナという国を作ります。

国を追われたユダヤ人は、ヨーロッパのキリスト教徒にたいへんな迫害を受けます。

特に第2次世界大戦では、ナチスドイツに600万人ものユダヤ人が殺されます。

自分たちの国を持たないからこんなことになるのだと、ユダヤ人はパレスチナに戻ってきます。

当然ユダヤ人はパレスチナのアラブ人ともめます。

これを仲介したのは国連です。

国連はパレスチナをユダヤ人とアラブ人で分けましょうと決議します。

問題なのは聖地エルサレムです。

エルサレムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地です。

国連はエルサレムはどちらの国のものでもありません、国際管理ですと国連で決議しました。

パレスチナ周辺のアラブ人は、突然異教徒のユダヤ人の国ができるので猛反発します。

国連の分割決議の翌年1948年、ユダヤ人はイスラエル(ヘブライ語で神が支配すると言う意味)を建国します。

しかし建国翌日、まわりのアラブ人がイスラエルに攻め込み、中東戦争がはじまります。

この中東戦争にイスラエルは勝利し、パレスチナの多くを占領します。

そして国際管理のはずのキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の聖地エルサレムも占領してしまいます。

土地を追われたパレスチナのアラブ人は、ヨルダンが支援するヨルダン川西岸地区と、エジプトが支援するガザ地区に自治領を作ります。

同じパレスチナ自治領ですが、ヨルダン川西岸地区はファタハが治め、ガザ地区はハマスが治めています。

ファタハは穏健派でイスラエルと共存していこうとする中、逆にハマスはイスラム教の聖地エルサレムを占領するイスラエルの存在を認めていません。

そしてハマスは国際テロ組織とされます。

ITが強く強国にのし上ってきたイスラエルと、貧しいハマスとでは軍事力が圧倒的に違います。

そんなハマスが今回、突然イスラエルに侵攻し、多くの住民を虐殺し、何百人もの人を人質としたのはなぜでしょうか?

それはもともと住民からの支持が高かったハマスですが、この夏についに国民から反ハマスのデモ運動が起きました。

これまではこんなに生活が苦しいのはイスラエルが悪いとされてきましたが、ハマスが悪いとデモが起きました。

またアラブ人のイスラム教の国、UAE、モロッコ、スーダンが次々とイスラエルと国交を結びました。

イスラエルはITなどが最先端でとても経済が発展しているためです。

そして来年にはアメリカの仲介によって、アラブの中心であるサウジアラビアも国交を結ぶと噂されます。

後ろ盾を無くし、焦ったハマスはテロを起こしたのではないかとされています。

もちろんテロを起こしたハマスは悪いですが、これまでに聖地エルサレムをめぐって様々な宗教戦争が起こったことが原因だと思われます。

現在日本の原油の90%は中東に依存しています。

アメリカに追随してイスラエルを支持すると、原油を依存しているアラブの国からにらまれますし、難しい舵取りに迫られますね。

可児修司